自由写真の部 金賞 「盛夏と晩夏」 選評 小林 紀晴
咲き誇る向日葵と枯れ果ててしまった向日葵とを対比させるように配した場面ですが、向日葵以外にも蝶々やテントウ虫、さらに遠景には汽車と、いくつもの要素が混じり合っています。写真というものは本来、複数の要素が入ると破綻してしまうケースに陥りがちですが、この作品ではそれぞれの要素を奥行きの差別化を図ることで上手くバランスをとりながら構成していると思います。各要素の持ち味を発揮し、長く見ていても飽きのこない面白さがこの作品にはあります。一度見ただけではわからない、見るごとに深まっていく、そこが魅力なのです。
(富士フイルムフォトコンテスト作品集から抜粋)